その他

オープンバックと密閉型

2012年 02月 15日 02:47 | カテゴリー: その他
2012年 02月 15日 02:47
その他

前回の「スラントとストレート」に続いて、キャビネットついでにコンボアンプもやっておきましょう。

4発入りのキャビネットはそのほとんどが密閉型と呼ばれる、本当に箱になった(ふたで閉じられた)キャビネットです。それとは違ったコンボアンプ(JCとかAC30とか、Fender Twin Reverbなど)は、裏からスピーカーが丸見え状態のオープンバック(後方解放型)と呼ばれるキャビネットです。

 

オープンバックの利点と欠点

スピーカーって、音は前と後ろへ出ることをご存じでしょうか?考えてみれば簡単なことですが、音は空気の振動です。ですから、電気的にスピーカーのコーンが前後運動することで、空気を振るわせて音になります。スピーカーが前に出たときにはもちろん音は前に出ますし、後ろ(正確には元の位置に戻ったとき)に行ったときは、後ろ側に空気が振動するので後ろの方へ音が出ます。

プロがコンボアンプで録音するときには、前にマイクを置くのが普通ですが、裏にセッティングすることもあります。このときにはミキサー上で位相反転させて音の時間差を埋め合わせます。DAWなどの波形で見るとはっきりわかりますが、音は波で表されるので、その山の盛り上がる方向と時間軸がずれています。時間軸は波形データを前後に調整するとタイミングは合わせられますが、山の盛り上がり方向は全く逆になるので、これを「位相が反転している」といい、この状態のままだと録音後、同一スピーカーで再生する場合(レコーディングモニターで聞くこと)には、音が打ち消しあって正確な音になりません。まったく「0」になることはありませんが、奥に引っ込んだり、音が揺れたりします。

これをテープ時代では、録音し始めると直すことはできないので、ミキサー上で位相反転して、裏に出ている音を正常な音に直す必要があります。DAWではコマンド1発で位相反転できますが、ミキサーの位相スイッチはこのために付いています。

余談でしたが、スピーカーは密閉されていると、エンクロージャー内部の空気がバネの役割をして、若干ですが、スピーカーのドライブに制限をかけます。つまり、密閉型では主にスピーカーの保護が可能になるので、スピーカーの耐久性が伸びます。逆に言うと、スピーカーは限界までのドライブはできないので、大音量を突っこまないとフルドライブは不可能です。ですから、大音量型のアンプヘッドに4発キャビの組み合わせは必然的であり、キャビのほとんどが密閉型が多いわけです。

これに対して、オープンバックは密閉型と全く逆のことが言えます。ですからスピーカーは小音量(それでもそこそこ上げることは必要としても)でもスピーカー自体のフルドライブが可能で、スピーカーの味付けも余すところなく再現できます。ですから、ヴィンテージ系のスピーカーであれば、アンプの出力以上の耐入力を持つスピーカーでないと、スピーカーが飛びやすくなります。これは密閉でも同じですが、へたりのスピードが違います。練習スタジオなどで結構鳴りっぱなし状態とかですと、へたり方は著しく違います。ですからスピーカーの耐久性はオープンバックでは結構不利になります。

この耐久性が欠点として、長所はスピーカーのフルドライブが可能なことでしょう。スピーカーを制作したメーカーの味付けで音質が変わると言っても過言ではありません。ですから、昔はよくあったのですが、例に取るとFender系ではJBLやEVといったスピーカーに変更する人も多かったです。メーカーからも年代によってオプション扱いで売っていたこともあります。銀パネのTwin ReverbにJBLは甘い音質が良かったですし、EVでは張りのある音圧感と、抜ける音が非常に魅力的でした。

 

なぜコンボアンプはオープンバックなの?

まあ推測でしかないのですが、まだギターアンプが流通し始めたころの1940年代では、小型で出力の低いものが多かったわけで、アンプのコントロール部分とスピーカーが一体になったものがほとんどで、これが原型になったと思われます。

時代の要求で大音量の出力が必要となって、大口径のスピーカーに2発化されていきました。最大で4発まで行きましたが、会場もでかくなり、コンボアンプのようなフラットな面では、音を遠くまで射出できません。で、時代的に考えるとPAの進化と共に、同じようなスピーカーシステム、つまり3段積みのような巨大なものが生まれ、運ぶことを考えると2分割してスラントをつけるとかが派生的に生まれます。

こうしてみると、密閉型の大型システムでは保護的な意味でもふたをして密閉する、その逆でコンボアンプではこれ以上重くならないように、昔ならではの開けっ放し。4発入りもあったけど廃れてしまっているので、やはりメインは2発もので、この大きさならオープンでも...と考えているかどうかはわかりません(笑)。

まあ、昔のアンプを考えると、真空管ですから放熱の問題でキャビネットを塞ぐことができなかったというのが、(たぶん)一番信頼が置ける理由かも知れません。

 

ステージでのコンボアンプ使用例

通常ステージでのコンボアンプは大体JCか、持ち込みでAC30とか、まあサブで置いてあってFender Hot Rodなどですね。最近は寂しいことにTwin Reverbなんて見ませんね。

いや、別にステージに限ったことでなく、コンボアンプを使う時に大体皆さんアンプはそのまま立っている状態ですよね?これで、まともに自分の音がモニターできてますか?まず聞こえないのが普通です。Twin Reverbには斜めに傾けるための足が両サイドに付いていて上向きにセッティングできるんです。こんな便利な足も最近のには付いていません。ですので、アンプ持ち込みでしたら既設のJCの上に乗せたり、アンプスタンドで傾けたりと、工夫をすることで、ダイレクトなモニターができます。

私は何を使うときでも、必ず傾けるか、位置を上げるかするようにしています。もちろんPAの人にも言ってマイクの位置も変えてもらわなくてはなりません。とにかくダイレクトに耳に入るようにセットするわけです。

これにより、無茶にアンプの音量を上げずとも後ろまで届きますし、PAのバランスも取りやすくなります。特にアンプで歪ますときはこれができないと結構不安です。ギター側のボリュームで歪み具合のコントロールをしますので、Gainの上げ方が調整しにくいのです。

多少のスペースさえあれば、ライブハウス側もある程度協力してくれるので、リハ中にアンプのことを伝えておき、本番では入れ替え時にそれをやっておきます。その上でステージに来るエンジニアにマイクセッティングを任せます。この方が、ステージモニターより確実に自分の音がモニターできるわけです。

こうした置き方次第で自分の好みの音が得られるなら試してみる価値はあると思います。基本的にFender派で昔からTwin Reverbを使っている人はよくやるのですが、最近は遠慮しているのか、そうしたアンプが少ないのか、あまりやる人はいません。でもスラントの効果は前記事で説明したとおりですので、一度お試しあれ。