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抜ける音の音作り ーアンプによる音作りー

2012年 04月 10日 20:26 | カテゴリー: その他
2012年 04月 10日 20:26
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前記事「堅い音と抜ける音の違い」からの続きです。

 

アンプでの「抜ける音」

ギターアンプの音質は、歴史が物語るようにドンシャリにできています。Bass、Middle、Trebleをすべて「5」にすると、おおよそ全体の音質カーブは先の記事で説明した「抜ける音」とは真逆の、中央部が下がった谷型になります。

これは最初期のギターアンプを開発したレオ・フェンダーがラジオの修理技師であることから、ラジオのような中抜けの音をバランス取るように、レンジを広くとるためにわざとドンシャリにして、ギターの音を調整するように仕上げたといっても、おおよそ過言ではないでしょう。たしかチューブアンプの歴史で書いた気がします。

ですから、アンプにおいてMiddleを上げることがギターのレンジを広げることになります。そしてそのMiddleの出具合に合わせてBassとTrebleを補うように調整します。なので、どう考えてもBassやTrebleがMiddleより上がるとギターらしい音、つまり「抜け」が失われて、ただの「堅い音」とか「ブーミーな音」、両方合わせて「ドンシャリ」になります。もちろん、これを狙うときもありますが、それはアンサンブルにおいての役割を考慮した上で行うべきです。

さて、ここで質問です。ギターアンプで一番抜ける音質は、ある独特な奏法を生み出しました。その奏法とはなんでしょう?

答えは「フィードバック奏法」です。最近は使う人も少ないですね。まあ、往年のギタリストですと、すぐに思い出すのはサンタナです。もちろん他にもいますが、私の師匠とも言えるサンタナを置いて他にいません。

で、このフィードバックはハウリングの1歩手前であります。つまり、ギターの発する音と、アンプの音質の一番良いところが反応しあって、ギターのピックアップが再度音を拾って、音の永久ループを呼びフィードバックを起こします。つまりフィードバックが起きる音質が一番そのギターと相性の良いアンプの音質であり、「抜けた音」となります。

結構危険な発想であり、フィードバックはあまりアンプにとっても良いモノではありません。ですから、このフィードバックの1歩手前の音質作り(つまりハウリングの2歩手前)が、「抜ける音」の重要ポイントです。この音質に調整されたアンプから発する音は、回りの音がでかい、または自分の音が多少小さくともよくモニターできます。

 

アンプの3バンドEQ

Line 6のPodシリーズの取説にも書かれていますが、フェンダーやマーシャルといったチューブアンプの電気的EQ特性は、Bass=0、Middle=10、Treble=0で、フラットです。つまり、もともとドンシャリで作られていて、レンジが広がるような音作り、抜けを持たせた音作りが可能です。

このことは、私もお世話になっている「The Effector Book Vol.7」でもグラフで特性が紹介されています(著作の問題で載せられませんので、興味のある方は買って見てください)。Fender Twin ReverbとMarshall 1959(Super Leadだったか?)のEQ特性グラフが載っています。

で、簡単調べてみたところ、どのアンプの取説にもBass、Middle、Trebleに対する中心周波数は載っていなくてわかりません。上記のグラフを参考にすると、Bass=100Hz、Middle=300Hz(Twin Reverb)~700Hzあたり(1959)、Treble=10kHzあたりのピーキングなんですが、それぞれに山または谷となるカーブ(パライコで言うところの「Q」)が異なっており、さらにBassとTrebleを10にするとそれに応じて(たとえMiddle=10でも)MiddleのGainが少々下がるような特性を持っています。これはTwin Reverbも1959も同じです。さらにフェンダーはもう少し強烈に効くようになっていて(可変幅としてはほぼ同一ですが、絶対的な中低音はマーシャルの方がゲインが高め)、フェンダーがマーシャルよりさらにドンシャリ感を強めているのは否めません。

また、カーブの差もあるので一概に言えませんが、おおむねギターに直接的に影響するのはMiddleのみです。BassとTrebleはスピーカーの再生能力を超えたところにピークがあり、EQカーブで低域と高域を調節するようになります。

余談ですが、よく「フラットにしてから音を作れ」といいますが、本来フラットから音を作るならBass=0、Middle=10、Treble=0から作るという意味で、どこで「全部5がフラット」となったのか、よくわかりません。でもこの勘違いもよくあります。

とにかく、Middleはギターにとってキモとなる周波数帯を握っています。先の記事「堅い音と抜ける音の違い」で定義した「抜ける音」は、このMiddleの扱い次第で変わってきます。たとえすべてフル10状態でも、Twin Reverbでは300HzあたりにBassとTrebleに比べてー12dB程のディップができますし、Marshall 1959でも550Hzあたりにー4dB程のディップがでます。

これらの数値は全て電気的なものですから、実音はというと聴感上で、人によって差が出てきます。たとえば、「歪ませる」ということは、コンパクトエフェクターのオーバードライブがそうであるように中域に癖があり、Middleが上がった味付けがなされます。言い換えれば「原音を崩す」ことですから、基音(芯)となる中域をしっかり保たないと、歪みによる倍音が強調され、甲高く聞こえてきます。ですから、オーバードライブはマイルドであり、中域に癖があるわけです。

このサイトのあちこちで言ってますが、「TrebleがMiddleを上回ることはない」というのは、耳当たりのよい程度の高域はすでにアンプがドンシャリ、歪みを足すと倍音が上がることで、適度に作られているので、はっきりと言えるわけです。Bassも同じ理屈で、スピーカーからの出音が、キャビの許容量を超えるとブーミーな音になり、最悪スピーカーをへたらせるのも早くなり、あまり良いことには思えません。既にアンプでBassが上がり、こちらも適度に保たれているからです。

 

Sound Makingの音作りは実際のアンプの音を目指しています

Sound Makingのサンプルサウンドをご覧いただくとわかりますが、全部の音において「TrebleがMiddleを上回る」ということは、ないはずです。まあ、ニアイコールで、同じレベルはあると思います。

特にサンプルの多いPod X3では、もともとアンプシミュレーターと言うよりは、レコーディングシミュレーターです。デジタルの音の良さも手伝ってハイクォリティではあるのですが、レンジが広すぎて、全体的に音が堅いわけです。

アンプ自体は音が出力されるアナログ媒体で、実際の積まれたスピーカーの再生レンジを見るとほぼ上は5kHzです。ところが、サンプリング周波数96kHzをもつPod X3では、人間の可聴帯域20kHzを遙かに上回るため、堅いのは当たり前です。これに関しては、後に続く「抜ける音の音作り ーレコーディング用の音作りー」に譲ります。

何が言いたいかというと、このサイトの人気コーナーであるSound Makingでは、あくまでも本物のアンプを想定した音作りをしています。雑誌のサウンドサンプルのようにPodの機能を生かしたレコーディングシミュレーターのような使い方ではありません。雑誌の使い方はあくまでもCD録音された前提曲がある場合がほとんどで堅い音になることも多いです。

ですから、Sound Makingではほとんどがアンプ1発の音作りになっています。訳あってStompなど使う場合はちゃんと意味があると言うことです。その場合は明記しているはずですので、よく読んでみてください。

 

では、今回の絡んだ記事である

・抜ける音の音作り ーPAが絡む音作りー

・抜ける音の音作り ーレコーディング用の音作りー

の、こちらに続いてください。