個人練習

ソロが上手く聞こえる安定したビブラート

2017年 08月 28日 22:27 | カテゴリー: 個人練習
2017年 08月 28日 22:27
個人練習

たま〜にライブを見に行きますと、自分がギタリストなため、特にギターには注目してしまいます。まあ注目する点はもちろんアンサンブルなんですが、それを壊さないための努力と言いますか、個人レベルの引き上げを各自がちゃんと行っているかどうかが、結構気になります。

アンサンブルだと、第一にはバランスが取れているかどうかなので、周りの音をちゃんと聞いているかで、バンドの良し悪しが決まると言っても過言ではありません。各プレイヤーは各自の演奏だけでなく、音量による抑揚などまでコントロールできると、バンドとしてのまとまり感が出てくるというものです。

で、ことギタリストに関しては音の処理に注目してしまいます。それはギターの音作りはもちろんのこと、フレーズの処理、つまり弾き方です。たとえそれがコピーだろうとアドリブだろうと構いませんし、多少の間違いもあんまり気にしません。まあ、自分も上手い方ではないですので。

ただ、気になるところはあるのです。否応なしに耳につくというか。それがソロ時のビブラートです。オブリにせよ、ソロにせよ、決定的にプロとの差があるのがこのビブラートです。

色々な方法があるこのビブラート、個性の一端ではありますが、やはりプロのビブラートは普通に聞けます。自然なんですね。

ちょっと前にピッキングハーモニクスとカッティングという、奏法について書きました。それはギターの腕の見せ所であります。ビブラートにもその意味があり、テクニックの向上になるとも思うので、今回はビブラートについて書いて行きます。

 

縦ビブラートと横ビブラート

既にご存知かと思いますが、エレキギターの場合は基本的に縦ビブラートです。同フレット上で1〜6弦方向に動かします。対して、クラシックギターやバイオリン、フレットレスベースのようにヘッド〜ブリッジ方向に動かすのが横ビブラートです。もちろんエレキギターでもジャズでのフルアコのような場合には横ビブラートを使うこともあります。ジャズでなくても普通にロングトーンでやる場合もありますね。

ここでは、基本的な縦ビブラートに言及しましてお話しします。ビブラートはピッチが上がるところが始まりです。で、戻す。これを繰り返すわけですが、うまく聞かせるコツがあります。

  1. ビブラートをかける音のポジションを押さえてすぐにビブラートをかけない
  2. 揺らす幅(大きさ)を意識して、ちゃんと基音に戻す
  3. スピードを意識する

この3つですが、これを同時にやらなくてはなりません。

これがきちんとできない典型的なのが「ちりめんビブラート」です。いわゆるちりめんのように細かくて早めのビブラートを指していいます。このビブラートはある程度慣れたギタリスト、ソロを弾くようになってテクニックを覚えてからやりがちなビブラートです。これを聞くとそのギタリストのレベルが測れてしまいます。中級者にも多いんです。何が悪いって先の3つに対する良くないパターンが全部重なっているからです。

ちりめんビブラートは細かく、揺れが少ないので、プレイヤーが意識しなくてもピッチが上がり気味で音がシャープして聞こえるのです。揺らそうとムキになる程、シャープします。つまり擬似的に軽いチョーキング状態になるのです。

これをやる人の特徴は、弦を上に上げるビブラートをすることです。もちろん1〜2弦ならわかりますが、3〜4弦でもこれをやります。

ところがYouTubeなんか見てますとプロのビブラートは弦を下に引きます。場合によっては2弦でも下に引きます。たとえば2弦で人差し指なら下に引きます。

このムービーを見てください。故松原正樹氏もよくコピーしたという、TOTOのギタリスト、スティーブルカサー氏の師匠でもあるジェイグレイドン氏です。しかも自らのアルバム、Air Play for the Planetからの自身のソロ解説です。ジェイグレイドン氏といえば、超有名ドコロ、Steely Danの「Peg」のソロですね。余談ですが、このムービーでは松原正樹さんの得意とするフレーズの一端が随所にあり、氏のファンであれば、影響をかなり受けていることがわかるでしょう。

全部見ますと、色々なビブラートを使いこなしています。でも基本となるビブラートは弦を下に引いています。上に上げるよりも不思議とシャープして聞こえることはなく、まあ自然です。

僕自身、ギターを始めたころは上に上げるビブラートでした。バンドを始めて、色々な人と関わってから「ビブラートは下に引くんだよ」と教えてもらいました。上に上げるビブラートは、ビブラートを意識するあまり、なかなか基音に戻せないことが多いように思います。

また、ちりめんビブラートのバリエーションでは、指先や手首は動いているのに弦は揺れないというのもあります(あくまでも縦ビブラートです)。弦の押さえたところを支点に指先を動かそうとするとこうなります。

下に引くビブラートのコツは、ネックの下側と左手人差し指の付け根あたりを支点にして手のひらを返すように腕を回すと、人差し指、中指、薬指、小指と、全部の指で普通にかけられます。1弦では上に上げるのですが、これも同じです。指先や手首では安定しません。

 

ビブラートのスピード

これがまたコントロールできるまでは、自分でも時間がかかりました。下へのビブラートを覚えるまでは、ちりめんビブラートでした。だから早すぎたわけです。これ、スピード落とすことを覚えるまでは結構時間がかかったものです。

下に引くのは5〜6弦でできていたので、さほど難しいものではなかったのです。で、スピードは一旦テンポに合わせるようにしてみました。ところが、これだとチョーキングの繰り返しのようにしか聞こえません。でも今思えばこの練習がスピードをコントロールできることに繋がりました。とにかくテンポに合わせて上下させるので、この練習中は「おまえビブラート遅い」と言われたものです。

で、このテンポの倍、(およそ)16分音符で上下させると割とビブラートっぽく聞こえてきます。まあ、ぶっちゃけ、今ではそんな細かい所まで意識して弾いているわけではないのですが、下方向へ引く、戻すの繰り返しを16分で練習したことで、ずいぶんとそれっぽくなった気がします。本番などは自分が教わった「自分で遅いと思うくらいがちょうど良い」ということだけ意識します。

 

チョーキングビブラート

これまた難しいテクニックの1つですが、これも前述のジェイグレイドン氏のムービーでも見られます。チョーキングで上げた弦を戻すことなく、目的のピッチを維持したままビブラートをかけるテクですね。

何が難しいかというと、音程感です。中級者以上でもよく聞くのは、目的の音(1音とか1音半など)に到達する前からビブラートを始めてしまうパターンです。まあ曲のスピードも、フレーズの譜割にもよりますが、意外とこのように区別がつかないように聞こえます。

一度目的音まで上がったらそこで一瞬でも止めて、それからビブラートに移るとキレイに聞こえます。また、チョーキング中なのでビブラートは音程が下がる方から始めて、目的音に上げるという繰り返しが自然に聞こえます。

本来であれば、通常の押弦のビブラートのようにピッチを上げる方向から始めるのが理想的ですが、チョーキングでは目的音よりさらに上げると目的音が定まって聞こえにくいので、難しいのです。理想をいうと、目的音をキープしてそこからキレイにピッチを上下同じ音程幅に上下させるのが良いのですが、こんなことはプロでもなかなかできることではありません。

しかも、目的音から下げる方向のビブラートは一聴するとトレモロアームによるダウン/アップと変わらないはずなのに、雰囲気はまるで違います。まあ、チョーキングのスピードや上げ幅など、ニュアンスが千差万別なので慣れるしかないのですが、ポイントは「ビブラートを始める直前の目的音を一旦止める」ということです。

 

アームによるビブラート

ストラトのシンクロナイズトレモロやフロイドローズ、ビグズビーやGibsonの板バネ式など、様々な可動式ブリッジでアームによるビブラートは、基本的にダウン方向へのビブラートなので、独特なビブラートが得られます。

もちろんフローティングによるアップ方向でもそれは一緒で、指によるビブラートよりも可動が大きくなるので、独特なビブラートになります。

まあアームの使い手なら普通にビブラートはできると思います。ダウンにせよアップにせよ基本的には元に戻るので、バネの動きに逆らわなければキレイにできます。

 

ビブラートの大きさ

細かい、ちりめんビブラートはその音程幅が小さいことが原因です。また、自分でビブラートをかけているつもりでも、実は指先や手首だけしか動いていなくてその揺れが弦に微妙に伝わってわずかな幅しか動かないビブラートというのも同じです(この場合本人が気づいていないことが多い)。

ここで気にしたいのは、その揺れ幅なんですが、大きいから上手いという訳でもなく、ただ上手い人ははっきりとビブラートをかけていることがわかります。もちろんスピードも関係してくるものですが、弾いているフレーズのテンポと見合うスピードなら割とはっきりとビブラートをかけられます。ポイントは「基音まで音を戻す」ことです。

ぶっちゃけ、スピードも揺れ幅もそのフレーズに見合えばOKなんですが、意外とソロではおろそかになっていることが多いです。YouTubeなんか見てると中には良い説明があります。また上手い人もいます。見分けるポイントはやはり「下方向へのビブラート」を説明していることで、デモ演奏でもビブラートは上手いですね。

 

ビブラートはフレーズの呼吸です

フレーズとフレーズをつなぐところとか、ロングトーンの最後とかにかけるのがビブラートです。かけるタイミングもスピードも振れ幅も全く同じというところもないでしょう。なので正解というのが存在しないので文章にすることも難しく、これほど説明しにくいテクニックもないでしょう。

きっちりとキレイにかけられるとフレーズが引き締まり、うまさが伝わるのもこのビブラートなんです。どんなに早いフレーズで弾きまくっても途中の息継ぎがないと聞いている方も疲れます。その呼吸感を出すフレーズのカナメとなるのがビブラートです。たとえ短いビブラートでもそこに生まれる呼吸感がソロを安定して聞こえさせるためのテクニックです。

だからおろそかにはできないし、中途半端では効果が半減します。ちゃんとフレーズに合わせてコントロールできるようになれば、素晴らしいソロに仕上がります。ソロって音外さないとか間違えないようにとか、どうしても弾く方にチカラを割いてしまいがちです。そして自分でビブラートをかけているつもりでもかかって聞こえないとか、ちりめんビブラートでシャープして不安定なピッチになるとか、この辺のチェックは録音または録画してみることです。

録音だとまだ自分の感覚があって、客観的に聞こえないかもしれません。スマホなどでバックになんか流しながら自撮りするとよくわかります。振れ幅、スピードなどが左手(右利きの場合)にちゃんと現れます。自身のライブがあれば撮ってもらうのが一番です。

そこできっちりと自分の弾き方を分析して見ましょう。またコピーならフレーズのどこにビブラートがかかっているか、呼吸のタイミングを原曲で聞き込んで、合わせてみることです。グリスやスライドなども呼吸となりますので、ただ音を取るだけではなく、こうしたフレーズの処理までコピーできるとそのフレーズが自分のものになってきます。自分で吸収できると余裕となり、ビブラートのスピードや大きさなどもコントロールできるようになります。

 

実際に演奏してみました。

続きの記事はこちら↓です。

「ビブラートのデモ演奏」