調整

ヘッドでの音質調整 ベーシックにEQから

2011年 03月 25日 01:00 | カテゴリー: 調整
2011年 03月 25日 01:00
調整

ヘッドの機種によって、イコライザーのバンド数も、種類も、周波数も違うので、どう説明したらよいでしょう?ヘッドの年式によってもコントロールが違うので、困ったものですが、なんとかなるでしょう。

で、すみません、自分でいうのも何ですが、今回は長いです。最後までおつきあいください。

 

リファレンスCDの準備

まずはリファレンスCDを用意します。リファレンスCDとは、自分が一番聞きやすい、各楽器の音やバランスが理解できるCDを言います。できればスタジオテイクの録音が良いです。なので、このCDの選び方でセッティングはずいぶんと変わってきます。いろいろな楽器が入っているのが理想です。ボーカル物、ロック、クラシック、アニソン...と、ジャンルは何でもかまいません。が、たぶんジャズは省いた方がよいでしょう。選んでもボーカル入りのジャズで、あまり古くないモノ、それこそウェスモンゴメリーやジムホールなどのもろジャズだと再生周波数帯域に偏りがあるので、できればレンジの広いモノが良いです。

ちなみに私が車の調整に使うのは、(完全に趣味ですが)女性ボーカルもの(ツィーターの高域を調整するため)が多いです。またベードラ4つ打ちパターンが入っているモノ(低音を聞くため)、隙間感があってリファレンスとしているのはマイケルジャクソンの著名曲(Billy Jeanとか、Badとか、Smooth Criminalくらい)あたりで、これらはレコーディング業界でもリファレンスにしているエンジニアは多いです。

意外と調整しやすいのはトランス、テクノ系の繰り返しパターンが多く流れるものです。これは低域、中域、高域まで、意外とバランスが良く出ています。ですが、基本的に好きで聞き込んだ曲で良いです。ヘッドホンや家のステレオなどで聞きまくったモノが、車でどう違って聞こえるかを判別できるような曲が望ましいです。もちろん複数枚あってもかまいません。

しかし、またしても注意点です。ここで、MP3プレーヤーは論外です。圧縮音楽ファイルはだめです。MDもだめです。必ずCDを用意してください。

それと、ポリシー通りにやるなら、ミックス中の曲、いわゆるマスタリングされていない自作曲などがあるなら、それをCDに焼いてください。これがない場合は、ライブ系のCDを用意します。これはライブのDVDがベストですが、ヘッドがDVD再生可能なら使ってください。

 

まずは聞いてみましょう

でも聞く前にすべてのEQはフラットにしておいてください。ダイナミクスコントロールもオフです。また、DSPの場合もオフにします。ベースブースト(Loudnessと書いてある場合もあります)もオフです。それとカーナビの場合、車種に合わせたルームサイズが選べるはずです。「セダン」「ミニバン」「コンパクトカー」などです。これは乗っている車種に合わせてください。

では最初にマスタリング前のミックスダウンしたCD、またはライブ系のCDを聴いてみてください。まだ迫力はないかも知れませんが、音量を普通に上げてみてください。交換したばかりの新しいスピーカーの場合はまだエージング(慣らし)が済んでいないので、極端に上げないでください。

まずはバランスを見ます。CDをかけっぱなしにして、全座席位置に座ってみます。同じ曲を同じところから聞いてみてください。PANの左右はちょうど真ん中で、前後は気持ち前寄り(10段階ならFront 2くらい)がいいでしょう。

この状態で、全部の座席できれいに音が聞こえるでしょうか?「きれいに」というのは、変な反響もなく、ボーカルがあればきちんとメインで聞こえているか、低音はしっかり出ているか、高音は途切れないかなどなど、通常に聞いているオーディオと近い音が鳴っているかどうかがポイントです。ベースが聞こえにくいとか、ギターがうるさいとか、何かの楽器が変に偏っていないか、素直に感じた部分を覚えておいてください。このミックスCD(LiveのCDやDVD)ではまだ調整しません。

次に、リファレンスCD(自分の聞き込んだお気に入りの曲)を聞いてみます。前座席、特によく聞く位置で良いです(たぶん運転席でしょうから)。良くも悪くも先ほど感じた部分で、強調されたところがあるはずです。そこを調整します。

 

調整

参考までにどの楽器がどの帯域で鳴っているかは、「イコライザーについて その1」の「楽器が持つ周波数帯」と言うイラストをご覧ください。また、「EQの調整方法」←ここは基本的に楽器(特にギター)のことばかりですが、周波数帯の分類がイラストで書いてあります。

さて、基本は「モニタリングに最適」と謳っていますが、良いモニタリング環境はピュアオーディオに匹敵すると言ってもいいでしょう。ですので、ひとまず、リファレンスCDで良い音が作れれば、大体何を聞いても、たとえi Podなどで圧縮音楽を聴いてもよく聞こえます。HDDナビに入れられる音楽はすべて圧縮ですし。

ほとんどのヘッドはグライコだと思います。まれにカーナビでは3バンドのパライコもあります。上記の記事を参考にして、先ほど強調された感じた部分がどの周波数帯に当てはまるかを見てください。

EQの調整を始めると、大体がレベルアップの方向へ動かしてしまいます。これに注意して下さい。時には抜く(下げる)ことが必要です。以下にポイントを挙げます。

  • 低域は上げがちですが、スピーカーの再生周波数帯を超えている部分、およそ60~80Hz以下くらいでしょうか(‘たまにグライコでは30Hzなんて素子がありますので、この部分です)、これはフラットよりも下、つまりカットします。大げさにカットすることはないのですが、気持ち(1~2つまみくらい)下げます。こうすることで締まった低音が出せるのと、変な負荷を与えません(すぐへたるようなことはありません)。あまり下げるとロードノイズが混ざって聞こえてくるので、本当に気持ち下げるくらいです。
     
  • 200~400Hzあたりは低音の芯の部分です。ベードラやベースのローポジションあたりになります。ウーハーから出る音は4カ所からかなり拡散しますが、基本的にシートに吸収され、しかも耳より遠い位置ですので上げます。グライコならたぶん一番上がる部分と言っても過言ではありません。
     
  • 500~800Hzあたりは、シンセベースやギターの中低音、ピアノのバッキングなどが鳴るところです。チェロのボーイングもこのあたりです。上げるとボワっとした変な膨らみが出て、下げると曲の厚みが無くなります。できればフラットのままにしておきたいところです。
     
  • 1~2.5kHzあたりは、一番人間の耳に入ってくる音域です。特に、男性ボーカルや女性ボーカルの芯の音が出るところです。また、ほとんどの2Wayスピーカーのクロスオーバーの位置でもあり、調整が難しいところです。ここは、ウーハーとツィーターのつながり感を重視してまんべんなく聞こえるようにしなくてはなりません。上げるとボーカルが強調される訳ですが、あげすぎるとバックの演奏とボーカルが上下に分割されたように聞こえます。しかし、クロスオーバー周波数にぶつかる帯域を持ったEQなら、そこだけは上げてください。基本はフラットからプラス少々にとどめることです。スピーカーのクロスオーバー周波数を挟むのであれば、低域側をあげて、高域側を微調整(たとえばクロスオーバー周波数が1.8kHzに設定されたスピーカーの場合、1.5kHzのスライダーは上げますが2kHzのスライダーは1.5kHzと同じ位置から上下に振って調整する、つまり下がる場合もあるし、上がる場合もあります)します。
     
  • 3~6kHzはボーカルの倍音、つまりボーカルのつやが出る帯域です。先の1~2.5kHzに応じて調整してください。曲のジャンルによっては、曲全体の抜けを調整する帯域でもあります。
     
  • 8kHzはほとんどの楽器の倍音域です。ですからあまり上げると堅すぎる音ができあがります。しかし、曲全体の直接的な抜けを作る部分でもあります。ツィーターがシャカシャカしてうるさい場合は下げますが、ちょっとだけ上げておくのが良いでしょう。
     
  • 10kHz以上は車であまり上げると反響の元になる帯域です。また、ドラムのシンバルやハイハットの周波数帯でもありますが、同乗者との会話には著しく邪魔になる帯域です。なので、基本はフラット、耳障りならカットの方向です。

上記周波数帯はマスタリングから見た各楽器の持つ周波数帯に、ヘッドに採用されていそうな帯域を代表的に取り上げたモノです。また、やっかいな反射まではフォーロー仕切れません。車の形も千差万別なモノなので、そこはご了解ください。

とはいえ、反射に関してはシートの吸収で補ったり、直接ガラスに反射させるセッティングではないので(前回のスピーカーセッティングであれば)、極端に反射が生まれる音場にはならないはずです。

一番注意したいのは、Aピラー(フロントガラスと運転席、助手席の間)に、対面でツィーターをセッティングすると、フロントガラスで反射するは、運転席、助手席の反対側のガラスで反射するは、定位感がつかみにくく目も当てられなくなります。これがAピラーを勧めない理由でもあります。

では残りのサウンド調整機能も使って次で仕上げましょう。