Soft Synth

人気のドラム音源

2016年 11月 13日 09:55 | カテゴリー: Soft Synth
2016年 11月 13日 09:55
Soft Synth

macOS Sierraのアップデートを機に、プラグインの動作確認やらなんやらで結局音楽OSはアップデートできず、DAWも古いまま。さすがに音源プラグイン7つにエフェクトプラグインいくつかのブルジョワなアプリのほとんどが32ビットでもちょっと捨てられません。フリーのプラグインも含めたら、代替えできないものばかりです。64ビット対応で残るのは、なんとSuperior Drummer 2だけでして、輸入代理店がなくなってアップデートもできないものや開発終了品ばかりのプラグインに泣いているところです。

で、最近曲なんぞ作っておりまして、久しぶりに本気でドラム音源をいじっております。手持ちの音源はSuperior Drummer 2です。ところが、なかなか情報が少なく、使いこなすにも時間がかかるというか、ほっぽらかしていました。なので、慣れていないことこの上なく使いにくいので、他のドラム音源はどんなものかと調べていました。

そんな感じで、どれも有名どころのもので、発売されて時間も経っていまして情報も結構出てますが、DAW内蔵のドラムよりはるかに表現力の高いドラム専用のプラグインをご紹介します。

 

Drum専用プラグインの概要

これからご紹介するドラム音源プラグインに共通している機能がかなりダブるところも多く、「一体どれがいいの?」と悩むことが多々あります。シンセ音源ならある程度音質や使い勝手で差がつくので、自分にあったものは選びやすいのですが、ドラム音源に関してはどれもてんこ盛りで、できることはほぼ一緒。あとはキット(各インスト)の違いと使いやすさくらいしか差がないように見えます。

その基本機能はこんな感じです。

  1. MIDIによるパターン(グルーブ)を選択してのトラック作成ができる
  2. 高品質なサンプル音源に、アンビエンスマイクによる生ドラムレコーディングのシミュレート
  3. 各キット、各インストの高い編集能力
  4. 別売の音源で、キット、MIDIグルーブの拡張が可能
1.MIDIによるパターン(グルーブ)を選択してのトラック作成ができる

各社プロミュージシャンを起用して、実際のドラミングをMIDIデータ化。このパターンをDAWにドラッグ&ドロップしてドラムトラックを作成します。実際のドラミングだけに、ベタ打ちとは表現力が違います。音源のリアルさも手伝って、完成度の高いトラックができます。

2.高品質なサンプル音源に、アンビエンスマイクによる生ドラムレコーディングのシミュレート

そのサウンドクォリティは、世界各地の有名レコーディングスタジオで収録され、収録時は最低でも24ビット/96kHzの高品質。それらを通常のマイキングに、オーバーヘッドやオフマイクなどの空気感をも含む音も収録。さらに、スネアやシンバルなどのインストは、現在では手に入れることも難しいようなビンテージものなども用意されています(別売を含む)。

3.各キット、各インストの高い編集能力

キットを構成するスネアやハットなどのインストを個別に、生と同じようにチューニングピッチや共鳴をコントロールするエンベロープはもちろん、EQやコンプ、リバーブなどのエフェクトも内蔵され、リアルドラムを超えたエディットまでできる高い編集能力を誇ります。中には生ドラムからはあり得ないシンセ音のような音まで作れるものもあります。

4.別売の音源で、キット、MIDIグルーブの拡張が可能

拡張音源には、ジャンルによって最適なものが用意されていることが多いです。例えば、2バスやシンバルが豊富なメタル系とか、ビンテージキットによるオールディーズ系、ブラシのドラミングを中心としたジャズ系といった具合です。ほとんどが、一つのパッケージの中にそのジャンルに合わせた各インスト音源で組まれたキットとMIDIグルーブが用意されています。種類も各社豊富です。

 

この4点だけでも、ドラム音源がいかに高性能なのかがわかると思います。昨今のDAWにはサンプラーを使った生ドラムキットが用意されていることは多いのですが、それを鳴らすデータも生っぽくするのは大変です。また個別インストの加工もマルチレイヤーだけのサンプラーでは限界があります。シンセやエフェクトならDAW上でどうにでもなりますが、ドラム専用音源は持っていて損はないでしょう。

では、オススメのドラム音源をご紹介します。

とくにオススメ順とか、人気順ということではありません。

 

XLN Audio社 Addictive Drum 2

addictive.jpg

一言でいうと「セルベースの高次元エディット可能なサンプラー音源」です。以前(今もありますが=後述)Batteryというセルベースのドラムサンプラー音源がありましたが、これのドラム特化進化系とも言えるでしょう。

Addictive Drumの最大の特徴はその高い編集能力にあります。各インストごとの編集がメイン画面2ページ分にも渡る数多いパラメーターで、ありとあらゆるエディットが可能です。おおよそ考えられるエディットは全てこの音源でできるはずです。通常のミックスにおいてDAWで行うような処理、例えばゲートやリバーブ、サチュレーションなども音源上でできてしまいます。だから、DAWへの出力を2ミックスのままで、完結させることもできます。

基本がサンプル読み込みのシンセエンジンですから、動作も軽く、メモリーをちゃんと拡張してあるパソコンなら、まずこれが原因でフリーズするようなことはないでしょう(たぶん。保証しているわけではないので、あしからず。)

唯一の欠点は、セルが最大18個しかないこと。まあ、このおかげで軽いとも言えるのですが、つまり、1キットに18インストしか読めません。確かに必要十分なんですが、ドラムの要塞みたいなキットは組めません。ただその内3つだけ、なんでも割り当てができます。だから2バスは可能だし、カウベルやハットの上につけるタンバリンもOK。パーカスなんかは別キットにして別トラックで作ればいいし、まあ足りるといえば足ります。

この高度な編集機能があるのでプロの間でも、差し替えに使われたりして、人気の高い音源です。

 

FXpantion社 BFD3

bfd.jpg

一言でいうと「リアルドラムの再現にこだわってサンプル+モデリングエンジンを採用した音源」です。

まず驚かされるのは、そのサンプル量。多分今回の中で非圧縮換算で約155GBというのは最大のサンプル量であるはず。ロスレス圧縮(可逆圧縮、つまり圧縮しても元に戻せる方式)で約55GBに抑えているとはいえ、この圧縮再生のエンジン技術がサンプルの数を増やすことを可能にしました。

で、なんのサンプルを増やしたか?なんですが、これは、金物が多いのです。ハイハットに代表されるように、半開きやベルはもちろん、スティックのチップ(先端)とシャンク(腹)の違い、打点位置、左足のペダルの踏み具合(ハットの開き具合)、そして通常のベロシティなどをあわせると、800以上のサンプルがハットだけであり、さらにシンバルも同様にエッジ、カップ、ノーマル、ロール時の右手と左手など、さらにこちらもベロシティ分があり、かけ算すると、、、こちらも半端ない数のサンプルが予想つきます。

ニュアンスの参考ページ

ニュアンスも凄いです。普通口径の大きいタムを力一杯叩くと若干ピッチが上がって聞こえたりします。また片方のスティックでヘッドを押さえつけて叩いてもピッチを上げられます(これ、なんていうんだろ?)が、こんな微妙なニュアンスすらも表現可能です。こんなことが再現出来ちゃうのがすごいんです。つまりV-Drumのような電子ドラムで再現できます。

まあこのデータのうち、コントロールチェンジで再現する機能もあれば、音源がモデリングで再現している部分もあります。MIDIでコントロールできるものは数あるサンプルをマッピングで、より現実的な奏法へと昇華できるので、一度設定してしまえばプログラムは簡単になります。

欠点といえば、そうした設定が面倒なこと。手順は先ほどのメーカーブログにあるのでご参考のほど。あとは、モデリングエンジンが働いているので、動作を重たくしないためにグラフィックをショボくしたこと。これ、気にしないひとはいいけど、自分はテンション下がるなぁ、、、。いまや個人制作のフリーウェアでさえ、カッコよくできてる。エフェクトのメーターやEQのカーブなどにメモリやバリュー値がグラフィカルに出ないのはいただけない。

もう一つ、いくらサンプルが短いとはいえ数多く読めば実メモリーが食うので、やっぱり動作が重たくなる点。

それでも人気が高いのはやっぱりその再現性にあると思うので、電子ドラムを叩いて打ち込みできるひとにはオススメしたい音源です。

 

Toontrack社 Superior Drummer 2

superior.jpg

一言でいうと「生ドラムのレコーディングスタジオを完全再現した音源」です。前述の音源もアンビエントは当たり前、BFDに至ってはカブリ(インストを録っているマイクから別のインストの音が入ってくること。例えば、タムのマイクにシンバルの音が入ってくるなど)も録れているようですが、Superior Drummer 2はその比ではないのです。

インスト収録に使った全てのマイクのカブリがインストとは別に録られています。普通カブリってインストと同時に録る(望まないのに入ってくる)のですが、これが別録りされているということは、カブリのバランスがとれる、つまり各インストに対するマイクの向き、距離感までもがコントロールできます。これが全部のマイクに全マイク分個別にできるということはかなりライブ感が生まれるわけです。

通常レコーディングにおいては、こうした被りが邪魔になることが多いため、ゲートで切ってデッドにします。ですが、全くないのも不自然なので極薄めのリバーブでなじませたりします。これで昨今流行りのライブ感、バンド感を自在にコントロールすることができます。

本物のライブ感は、後掛けのリバーブなどで作られる人工的なものとは違い、あくまでも自然な響きとしてルーム感が付与します。よくドラムのレコーディングには高い天井のあるスタジオが良いとされますが、デフォルトのキットはUSAのヒットチャートを賑やかすアルバム制作のスタジオであり、ドラムレコーディングでは定評あるニューヨークのアバタースタジオですから、高い天井、広いスタジオのアンビエントが十分に録られているので、空気感はナチュラルなリバーブを付与します。

このアンビやカブリ以外にも、マイクも複数本用意され、例えばバスドラなら、オンマイク、別なマイクのオンマイク、ヘッドの中に突っ込んだビーター寄りのマイク、サブソニックマイク、そしてそれぞれのカブリがあるので、バリエーション豊かな本物の音が収録されています。

スネアもトップ、ボトム、リム、アンビと複数本ありますし、ハットは打点位置や叩き方の違いによるアーティキュレーションも複数音、もちろん各それぞれにベロシティ違いが10段階以上あり、ハットなどは右手と左手の打点違いを複数音で切り替えます。

各インストのエディットについては、あくまでもベーシックな要素(生ドラムで触れる範囲=ピッチ、エンベロープなど)にとどめており、エフェクトもあくまでもベーシックで、EQ、コンプ、フィルター、ゲート、トランジェントにとどめています。ですからリバーブなどはDAW側でコントロールすることになります。

ミックスするとわかりますが、他の楽器と混ぜたりするには同じタイムのリバーブを使って曲に一体感を作りますから、ドラムだけで別なリバーブとかがあるよりも、そこは割り切って音源に積まないようにしているのかもしれません。

生ドラムの素材がナチュラルなだけに各インストごとにエフェクトのプリセットが用意されています。素朴な各素材が、EQ、コンプなどで音質が変わるのは当たり前ですが、このプリセットが非常に音楽的で他のトラックに埋もれない生きたドラムに変わります。バリエーションも多く同じ素材を使っているとは思えないくらい、エフェクトだけで変化します。

インターフェイスも直感的で、メイン画面から各インスト別に簡単な調整ができたり、全体のバランスはもちろんミキサー画面、MIDIグルーブの画面ではパターンの中から各インストのパターン(スネアだけとかハットだけとか)まで引っ張り出せます。

このミキサー画面で、生ドラムの作り込みはかなりミックスの勉強になります。ルームアンビエンスの使い方がキモです。エンジニアとしての腕を上げるにも、Superior Drummerはオススメです。

 

番外編 Native Instruments社 Battery 4

battery.jpg

一言で言うと「元祖サンプラーベースのセル型音源」です。発売当初は完全にドラムだけでしたが、いまやAKAIのMPCとかを意識してもらった方が良いでしょう。もちろんドラムサンプルがメインではありますが、アンビエントサンプルも用意されドラム音源としてもかなり完成度は高いのです。

Batteryの真骨頂はその強力なエディット機能を備えたサンプラーであることにつきます。今やハードサンプラーは廃れてきているものの、ファイルフォーマットについて詳しくはメーカーサイトを読んでもらうとして(現行の全てのサンプルフォーマット対応とサイトには書いてます)、有名どころではAKAIのSシリーズやEXS、wav、apple loopsなど、ほとんどのオーディオファイルをインポートできるのです。

ですから1ショットものの効果音などを読ませて劇番のポン出しに使ったり、音の差し替えなどにも使われます。また、そうして読み取ったサンプルをシンセ並みの強力エディットで、音を作り変えるなどは朝飯前なんです。

ただし、前述のドラム音源のようなMIDIグルーブは持っていないので、打ち込みで使うには少々ハードかもしれません。付属のサンプルはメチャくちゃいい音してるんですけどね。V2までは自分でも使ってました。

 

番外編 Toontrack社 EZdrummer 2

ezd2.jpg

Batteryで生データ風打ち込みに挫折してMIDIグルーブを持ったドラム音源に走って使ったのが、EZdrummerでした。最初はこのMIDIグルーブに驚いたもので、結構研究ネタにしました。タイミングやベロシティ、アクセントなど、電子ドラムでデータ化したとはいえ、ベタ打ちにエディットかけても生演奏とはやはり全然ノリが違います。

一つの不満はキットがシンプルすぎたこと。基本4点セットなので流れるタムとかできないんです。で、期間限定でアップグレードが安かったこともありSuperior Drummer 2にしたのですが、いつの間にやらキットが拡張された「2」が出てましたので、ご紹介。

機能的にはSuperior Drummer の廉価版であることは確かなのですが、キットが十分に増えたのと、MIDIグルーブの扱い方が洗練されたので、自分的にはこれで十分だったわけです。まあ、今となってはもちろんSuperior の方が、より細かいところまでこだわれるのでよいのですが、最初にこれがあったらもっと打ち込み楽しく、曲を作っていたかな?と思うわけです。

音はSuperior 同等で、マイクが減ったことや個別のブリード(カブリ)の調整がないこと(アンビはあります)、MIDI グルーブのパターンから各インストが抜けない(DAW側で分けてやることはできます)、インサートエフェクトがなくシステムエフェクト(個別にかけるエフェクトではなく全体にかかるエフェクト)になっている、ところなんかが廉価版たるところです。

まあでも、今何も無かったらこれと拡張音源を揃えると思います。その方が手間かからずに仕上げが早そう。初めてのドラム音源なら値段的にもコイツをオススメします。