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ビブラートのデモ演奏

2017年 08月 28日 22:46 | カテゴリー: Recording
2017年 08月 28日 22:46
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こちらの記事は「ソロが上手く聞こえる安定したビブラート」からの続きです。併せてご覧ください。

 

僕の周りには上手い人がざらにいるのでおこがましいところもありますが、せっかくですのでムービーを撮ってみました。

Jay Graydon氏の自身による解説ムービーがあったので、2曲ほどコピーしてみました。上が本人解説ムービー(1曲目は0:00より、2曲目は10:07あたりから解説が始まります。)、下が自演です。まずはご覧ください。

 

1曲目は「Walk the Wire」のソロです。こちらの方がビブラートに関してはわかりやすいと思います。ビブラートは要所要所にあるので見てもらうとして、それ以外にもポイントは幾つかあります。0:20あたりの2度鳴らすピッキングハーモニクス、0:18あたりのフレーズをつなぐためのスライド、0:29あたりの1音半チョーキング、それとソロ最後の音のビブラートです。

特にピッキングハーモニクスは以前紹介した記事にありますように意図的に2度鳴らしています。どちらかを鳴らすのは割とできますが、同ポジションで指を変えて2度鳴らすのは意図的でないと100%で決めることはできません。

またこちらはちょっと短いですが、フレーズをつなぐためのスライドはフレーズとフレーズをつなぐ息継ぎみたいなものです。これがあるかないかで滑らかさと聴きやすさが変わります。前のフレーズの最後からダウンして、引き返すようにアップして次のフレーズに繋げます。ここはダウンを省略しないで上手い呼吸を入れて欲しいところです。

そして2曲目「Roxann」です。Policeじゃないですよ(笑)。コピーしてみるとよくわかりますが、これだけ音がてんこ盛りで息つく暇もないソロです。かなり忙しいソロなんで、指使いを間違えるとフレーズがつながりません。1発アドリブではない、完全に組み立てられたソロです。

で、数多いスライドの中でフレーズ内のスライドではなく、0:50あたりの4弦7Fからのスライドダウンが次のフレーズにつなげるための息継ぎです。また、1:00あたりの1弦17Fチョーキングと直後の2弦17Fでのピッキングハーモニクスが出せず失敗してますが、ここは音作りがちゃんとできてないとピッキングハーモニクスが鳴らしにくいポジションです。ここのピッキングハーモニクスは難しいです。音作りについては後述します。

こちらのソロはかなりテクニカルです。左手も右手も基本テクニックが満載です。それだけにフレーズの息継ぎやニュアンスがちゃんと表現できると「謳う」というのがわかってきます。こういったソロはこうしたニュアンスまでしっかりとコピーすることでレベルアップになります。

 

Jay Graydonの音作り

Riveraというアンプをご存知でしょうか?昨今ではメタル系でも使う方が増えているようです。CEOであるポールリベラ氏はかつてFenderに在籍しており、あのSuper ChampやTwin Reverb llといったアンプを設計した方で、さらにDeluxe ReverbなどのMod(改造)などでも知られています。そのMod品をこよなく愛しているのがJay Graydon氏です。ポールリベラ氏はFenderを退職したあとRivera Amplificationを設立し、後にJay Graydon氏のシグネチャーアンプ(Rake Head)を作りました。

そのRiveraのムービーでJay Graydon氏のインタビューがありまして「あなたの使うアンプで望むこと、重要なことを教えてください」という質問に、「mid-range」と即答しています。CDではなく、先のムービーなんか見ると明らかに太いミッドレンジの塊のような音を出しています。それでいて、トレブルを少々抑えながら耳に痛くない高域で張りがあります。

そして伸びを稼ぐための歪みはクリーミィでありながら結構歪んでおり、抑えたトレブルがトゲトゲしさを緩和しています。指板上を縦横無尽に駆け回るフレージングからはミッドレンジが幅広く持ち上がっていることを示唆しています。

これは他のアンプのようにミッドとトレブルの間にディップがあるわけではなく、ミッド(〜ハイミッド)〜トレブルの間がスムーズにつながっている設計のアンプ、つまりRiveraのアンプがミッドレンジがワイドであることがわかります。実際RiveraのアンプはFenderをベースとしながらも独特のミッドレンジ改造をしたポールリベラ氏のセンスでできたアンプです。だから同じミッドが強いメサブギーのアンプよりまだミッドがワイドなぶん、賛否両論ではあります。ですが使いこなせるとたぶんギターのレンジをフルに再現できるアンプです。僕も普段はFender Hot Rodをフェイバリットアンプとしていますが、まともなヘッドを買うならRiveraを買います(Rake Head欲しいですね)。クリーンも綺麗なんです。

 

サウンドメイキング

さて、ミッドに癖があるこの歪みですが、たぶんクリーンアンプ+エフェクターではまずこの音は出せないでしょう。いや普通には出せます。問題はどんなポジションでも意図的にピッキングハーモニクスを自在に出せる音質ということです。前述のようにミッドがワイドでブースト量も高く、それでいてピッキングニュアンスまで出せる強い歪みです。

いつもアンプ代わりに使っているVox ToneLab STでRiveraなんてありません。まあ近いところでDamble ODSのドライブチャンネル(Boutique Metalのグリーンch)を使います。アンプの設定は以下の通り。

Gain=7.0、Treble=6.5、Mid=9.5、Bass=5.5、Master vol=8.0、Cabinet=9(Celestine Vintage30×4)、Presence=4.0、NR=10

Reverb=23(Spring Reverb)

さすがにドライブチャンネルなのでノイズが酷いことになっているので、NR(ノイズリダクション)はフル。ただ、これだとサステインが犠牲になるので、あえてオーバードライブでブーストします。

オーバードライブは、先月入手した新兵器Providence Sonic Drive SDR-4Rです。そんなに歪みは強くないものの、ニュアンスが出しやすいオーバードライブです。ミッドが太いのにワイドレンジ感が素晴らしく、サステインが伸びるのです。

こいつをブースターセッティングで、Gain=3時、Drive=10時、Tone=1時としました。Fatスイッチはオンです。

今回はこれだけです。Sonic Driveのおかげで、ハイミッドあたりのレンジのつながりが良くなりました。2曲目の最後、1:05あたりの最後のビブラートでは実音が伸びたあとからハーモニクスが上がってくるのがわかります。このくらいのコントロールができる歪みが作れると、ピッキングハーモニクスも狙って出しやすくなります。

あと、いつものことですが、この録音はアンプシミュレーターを使ったライン録音です。本物アンプでちゃんと音が出せるとピッキングハーモニクスがよりやりやすいのですが、ラインでもこのくらいはできるものです。というかたぶんToneLab STの真空管が功を奏していると思います。

 

制作環境

普段何気に見ている動画でも、録音や制作環境が違うと全然違う音がします。なので備忘録として残します。

まず、カメラですが、Nikon D5500というデジタル一眼レフカメラの動画モードで撮影して、サウンドトラックを全差し替えしています。カメラのオートフォーカスノイズがデカすぎてつかいものにならないこと、風切り音防止のフィルターで音が変わるなどが理由です。

そしてギター→エフェクター(Sonic Driveのみ)→アンプシミュレーター(ToneLab ST)を通し、ラインでアナログ同録したZoom R24(24bit/44.1kHz)の音声を無加工でLogicに読み込み、ムービーに合わせてタイミングと長さを調整した音声トラックを作り、書き出します。

iMovieに動画と調整後のトラックを読み込み、長さを再調整、さらにタイトルや画面切り替えエフェクトなどを追加して、ファイルに書き出し、YouTubeにアップしました。

いつも通りギター音声に対しては、長さ以外全く加工なし、数回A-Bリピートさせて連続撮りしてその中からベストテイクをチョイスしています。1曲目が3回、2曲目が6回です。

そして今回は、原曲を同タイミングで鳴らすようにトラックを追加し、ソロが始まると原曲のみボリューム30%ダウン、ソロ終了時に元に戻してます。そのため、ギタートラックには始まる前と終わった後にフェードをかけてます。

ギターは音量がデカかったかもです。録音時の調整がうまくいってLogic上でノーマライズすら必要なかったのです。ニュアンスも聞いて欲しかったので音量もそのまま使いました。またディレイも普通はかけますが、アンプの歪みを使ったのでエフェクターでのディレイは汚いので使いませんで、ToneLabでかけようにもショボいのでやめました。なので、ToneLabではリバーブのみ使用してます。ステレオでオケに馴染ませる程度です。

 

撮ってみて思ったこと

実はこのJay Graydonの音は僕が理想とするサウンドの1つであります。実音に対して倍音が常に共存していて、自然と倍音に移る色気のある音です。これを基準としているので歪みのエフェクトは限られてきます。

これを満たしたのがなんとBoss SD-2です。ただ歪みやサステインは問題なかったのですが、太くはないです、抜けはいいのですが。で、もう少し太くピッキングニュアンスがつけられるものを探して見つけたのがProvidence Sonic Drive SDR-4Rです。4でもなく、5でもなく、4Rでした。びっくりしたのが、歪みは強くないのに減衰を始めたところで残るサステインでした。これアンプと組み合わせると倍音の伸びとして出てきます。さすがはプロ相手のメーカーです。いい仕事しています。

あとはコピーですが、フレーズのニュアンス、味となる部分を見極めて再現してみることです。中級クラスでも音しか取っていない人はザラにいます。こうしたテクニックは身についているのにアドリブとかになると弾くほうに一生懸命で、味が全くなくてつまらないソロを弾いてしまいます。

昔1発合わせのセッションに参加してたときには、周りのレベルが高くてびっくりしたものです。なにもギターだけじゃないんですよ。ドラムだろうがキーボードだろうが、こうしたニュアンスやツボを感じさせるプレイヤーが何人もいて、中でもギタリストが多く、その名演に引き込まれたものです。